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『グリムガーデンの少女-witch in gleamgarden-』 レビュー。

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※ネタバレ注意

 ライターは推理物として高い評価を得たカルタグラを手掛けた飯田和彦氏。そのせいもあってか、本作のシナリオの流れは推理物としての側面を持ちます。ヒロインの過去、主人公の過去。これらに起因する問題を主人公が解決していくのが個別ルートの主な流れとなる。しかし、現実的な推理物で終わらせない。ここに「魔女」「グリム」など捻りの入った世界観設定を絡めて行くことにより、ヒロインの成長がより一層際立つものとなりました。

 魔女…グリムと呼ばれる性質を持つ人間が発生した世界。グリムは人を殺めてしまう可能性があり、それを持つ人間自体が脅威とみなされる。そのため、グリムを発現した人間は収容所…ガーデンと呼ばれる場所に隔離され、グリムを制御…脅威とならなくなる…できるまでそこから出ることができない。

 ヒロインはこのグリムを保持した少女たちであり、主人公はその少女たちを導く監督官となります。

 グリムは過去に受けたトラウマ、ストレスにより発現する。感情の昂りにより暴走するものであり、グリムを最初から制御できるわけではない。そのため、ヒロインが個々に抱えるグリムを制御出来た時、ヒロインが過去のトラウマを乗り越えたシーンとなり、ヒロインの成長を最も感じられるシーンとなります。物語の流れはこのヒロインのトラウマをひも解いていくことに描写が割かれ、恋愛描写さえ最低限にしか描かれない。

 そういった意味ではこの作品はヒロインの成長物語でしょう。

 つまり、キャラクターのグリムがどうキャラクターの物語に関わっているのか?が本題となる。 桜子は周囲からのプレッシャーにより憎しみを抱き、そのため攻撃的な影のグリムを。千歳は周囲の期待に応えようとしながら、どうしてもそれが果たせず、逃げることを選ぶしかなかった不安定な心が幸運を奪い取るグリムになり、そして、そんな自分を責めるがゆえに、幸運を奪い取れなかったとき、その代償が身体に痣として残る。由真は周囲の言葉を信じられず、それでも本音を聞きたい欲求から心を読み取るグリムが発現する。これらのグリムが発生した原因と向き合い乗り越えるまでが、この3人娘の個別ルートの主な流れとなります。

 3人娘の一人を攻略した後に開かれる白雪ルート、その白雪ルート後のルナルートは発生原因が別となる。

 白雪とルナは他者の意思…グリムを発現させようとする作為によってグリムが発現する。ただ、自然であろうが、人為であろうが、結局発現するグリムはキャラクターの性質に依ることを示しているように思えます。白雪が同世代の子供たちと実験を受けた時、実験場にいる人間を全て食い殺すグリムを発現する子供がいましたが、白雪は似たような境遇であろうとも他人を害するのではなく、自身が消えることにより苦痛を無くすことを優先し、似たような境遇であろうとも発現するグリムはやはりその人間の性質を表すものとなることを示しているように思えました(まぁ、一人一人の実験内容は異なっていることを示唆する部分があるので、これが決定的とは言えないですが)。

 白雪は実験により幾度となく受けた精神的、身体的苦痛から自身を守るために消えてなくなりたい思いから消えるグリムを、ルナは病弱な身体ゆえに健康な他人への羨み、他者から奪いたい思いから強奪のグリムを。

 白雪からルナルートの流れは推理物…白雪ルートはルナルートの伏線になる部分や黒幕の解明、主人公の失われた記憶…の側面がこの作品で最も色濃く出ており、また、主人公自身の物語となっていく。人為的に生み出されたということはそれを画策した人間…すなわち犯人…を追うシナリオ展開になるのは当然と言えば当然のことですが。

 ルートロックの関係からルナルートは最後にプレイするものなのでしょう。推理物として考えても、伏線の回収の仕方からこのルートが最後になるのは納得がいくのですが、それ以外にルナルートは罪の意識が一番現れるものとなっためではないかと思います。それはルナ自身が過去に殺人…取り返しのつかない罪を犯していることだけではなく、その罪を主人公自身がグリムを保有すること…一人だけで背負わせなかったところからもその罪の大きさがわかるようになっていると思います。

  ただ、やはりどのルートもグリムを制御し立ち向かっていくことには変わりがない。この作品、あれだけグリムの負の面を描きながら最後はグリムを利用し決着する。

 ヒロインの性質をグリムでわかりやすく表し、展開は推理物としての性質を見せつつ、全てヒロインの性質にヒロインと主人公が向き合っていく姿を描く。本題をキャラクターの性質に目を向けた作品。だからこそ、グリムの解明なんてことはされないし、解消することもなく抱えたまま生きていくことになる。

 そんなヒロインが持つ性質がヒロインの過去と密接に関係し、物語の展開もその性質が起きた原因を、グリムを用いて解決するまでを描く。どのENDであろうと彼らの幸せに向かっていく姿は自分自身に向き合い、そんな向き合った結果だからこそ、であるのでヒロインの成長をより一層感じられるのだと。

 ぼくがこの作品を好きな理由は、推理物的なシナリオ展開の面白さだけではなく、グリムや魔女などを用いた世界観設定の奥深さなどでもなく、この設定をヒロインの成長を描く為としている点です。このような凝った設定を用いながらも、設定偏重に陥らず、設定をきっちり話に絡めることは大変なことだと思います。それをシナリオだけではなくキャラクターにまで絡め、描き切っただけで評価に値すると思うのです。
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