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『天色*アイルノーツ』 レビュー

天色

※ネタバレ注意

 『天色*アイルノーツ』の舞台は空を飛ぶ島。そんな舞台を取り巻くのはエルフや獣人など、人間とは別の種族たち。こんな世界感なのに、世界設定に切り込むことをしない。ガジェットの一つにしか過ぎず、特段この設定が必要と思えるシナリオではない。

 この作品のシナリオ、設定は”あえて”作りこまれていないのでは?

 特に気になったのはシャーリィルート。山場では主人公のトラウマとなった少女を軸に話を進める。これでもかと過去の少女の姿が映るので、これは何かあるのかなと期待してしまった。こういう物語だと過去回想・・・ではなくてもいいから説明を多めにとり、トラウマの克服が定番だと思う。しかし、この作品はトラウマに関しての過去回想はなく、説明が軽い。しかも問題を周りが勝手に片づけてしまっている。

 他のルートもトラウマや世界設定に触れることはせず(触れたとしても軽く)、ヒロインといちゃいちゃしていたら終わっていた。この作品の尺なら十分描けたと思うし、何よりライター陣はそれを書ける人たちだ。しかし描かれていない。シナリオの山場があっさりではなく意図して切り捨てているように見える。

 これは前作『DRACU-RIOT!』の評判に原因があるのではないか。前作はシリアスが多めになっていた。しかし、好意的な感想はあまり見たことがなく、前2作ほど芳しくはない。ほかの人の感想でも、よく「ゆずにシナリオを期待するな」という言葉が見られる。僕自身もそういうことは言っていた。ユーザーフレンドリーな『ゆずソフト』はユーザーの声を聴き、あえて作りこまなかったのではないか。

 ぼくは『夏空カナタ』、『天神乱漫』、『のーぶる☆わーくす』(2ルートのみ)、『DRACU-RIOT!』くらいしか『ゆずソフト』の作品はプレイしていない。そんな僕にとっての『ゆずソフト』は話の面白い、つまらないに関係なく、シナリオや設定に対してなんらかの挑戦が見て取れるメーカーだと認識していた(デュエルとか挑戦的でしょ?)。

 『DRACU-RIOT!』だって吸血鬼の設定を使い、シナリオを構築する姿勢は見られた。しかし、本作はどうだろう。ほとんど触れない。別段空を飛ぶ島だという設定はなくても成立してしまいそうだ。

 この作品のキャッチコピーは『空にウキウキ*あまいろ新生活!』だという。本当にその通り、空に浮かぶ島でのあまいろ生活を描いている”だけ”の作品になってしまった。

 「ゆずソフトにシナリオを期待するな」

 これはぼくも言ってしまったことだ。しかし、この作品をやって改めないといけないと思った。この平坦なキャラゲーがあまり楽しめなかったからである。シナリオに期待するからこの方向性やめてもらえないかな・・・。シナリオを期待、というのは、なにもキャラクターを度外視し、重厚な展開をするとか哲学的な思想を語っちゃうような作品を求めているわけではない。ヒロインとの掛け合いにメリハリを付け、世界観を魅せる雰囲気作りのアクセント、もちろんヒロインの魅力は最大限引き出す。

 キャラゲーと呼ばれる作品で”シナリオが良い”というのはそういうものだと思う。この作品はそれを最初から捨ててしまっている。それはいかがなものか。制作者があえて切り捨ててしまったシナリオ、設定に対して細かくあれこれ言う必要性は感じない。ここにあるのはコンセプト通り、『天色*アイルノーツ』にあるのは空に浮かんだ島でのかわいい女の子といちゃいちゃしているだけのおはなし。ただそれだけだ。

 不必要な設定というのはプレイヤーに不安感を与えるんですよね。そういった意味では、不安感を取り除いた真咲ルートだけは違った。こちらは描きこもうとして失敗したシナリオだとぼくは言う。けれど、その作りこむという姿勢だけは評価したい。このルートの話は、前提の“ペット”の部分が良い。教師が生徒を“ペット”にする光景おかしな光景とそれを喜ぶ真咲がかわいいからだ。こんなルートだから、シナリオは平坦なのだろうなと思ったら、終盤で妙に安心してしまった。このルートは作りこんであるのだ。前提が突拍子もなく、そこからシリアス部分に繋がるため、まとまりが悪い。また、ヒロインが勝手に身を引くという個人的にエロゲで最下位を争う展開だから苦手ではある。このまま終わらせておけば笑えるルートで面白かったのに・・・なんで作りこもうとしたのだ・・・と。だが思った。「ああ、これだ、この途中の面白さを無意味に作りこんだせいで台無しになるつまらなさだ・・・」そう安心してしまった。これを「ああ、この面白さだ」と安心できればどれだけ幸福なのだろう。

 願わくは『ゆずソフト』はシナリオを切り捨てず、目指し、面白いと安心させてくれる。そんなメーカーになって欲しい。過去作ではそれができたのだから。


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