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『天使ノ二挺拳銃』 レビュー。

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※ネタバレ注意

 死を迎える人間の未練を撃ち殺す“天使”。その主人公設定ゆえ、主人公のヴィムは毎回、人間が死ぬ直前に立ち会うこととなる。現実の流れを物語として捉えるのであれば、ヴィムは終盤まで物語に介入できない・・・傍観者となる。毎回、“死”に立ち会うという設定のため、俯瞰視点で見た人間の死にざまを見ていく。そして彼は人間というものに興味がある描写が多い。この辺りを見ていくと、この作品の“天使”から“死神”を想起する人は少なくはないだろう。人の死を眺めていき、死生観を綴った作品。そういう作品も古い作品の中にはあるし、この『天使ノ二挺拳銃』はそうなると思っていた。

 しかし、そうはならないのがNitro+。

 終盤はヴィムが物語に介入できるようになる。相手が同一の存在になった時、紡がれるシーンの数々。カーチェイス、ゾンビ(正確には違うけど)、ガンアクション、刀VS拳銃、数々の無駄に凝った設定の銃器類。こんな題材でも料理の仕方は彼ららしさが息づいている。

 この物語、全ルートで主人公は死んでしまう。後半で解明される、天使は人間を愛することができないが、二挺拳銃を持った天使のヴィムだけは特別で、人間を愛することができること。そして愛することができた天使は人間になれること。

 それゆえ、アンリルートの場合は最後までヴィムは天使である。しかし、終盤では天使は人間にとってのウィルスであり、人間という宿主を滅亡させ死ぬと語られる。つまり最後にはヴィムもアンリも死んでしまう。とは言っても、彼が人間となる物語・・・風子と小巻ルートでもそれは変わらない。風子と小巻がヒロインである場合、ヴィムは人間となるにも関わらず、死んでしまうのだ。

 天使と人間。どちらになろうとも、結局は死につながる。ヴィムが死ぬまで、その過程を描いた作品と言えるのかもしれない。

 ただ、このお話、“死”に対するヴィムの心情がおざなり。天使とは何か・・・その謎をずっと語ったり、バトルもしくは逃亡劇を演じたり、この辺りをずっと描くがため、そういった描写は希薄だった。“死”というものに実感がわく人間などはほとんどいないと思う。実体験する人など普通はいないからだ。だから死生観を題材とした作品は心理描写を深め、そこに共感を呼び起すようにする。“死”に対してヴィムがどう捉えているのか、というのが分かりづらい。死にたくない。この気持ちは感じられない。そもそも彼は人間ではないので、そう思うのかさえプレイヤーとしてはわからない。だから共感は起きず、この作品の“死”がとてつもなく淡白な物となってしまう。

 最終的に彼が死んだところで、そこに感動というものは生まれず、結局はその過程にある格好良いシーンの寄せ集めを楽しむ作品でしかなくなる。

 ただこの寄せ集めが良い・・・。

娘を庇うために銃弾を浴び続ける一斉。
血の雨の中頭上に二挺拳銃をぶっぱなし続けるジェイ。
お互いの口に銃を入れ自殺するアンリルートラスト。

 製作者が格好良いと思ったシーン。なんというか、すべての設定がこれらのシーンを描くためにある。

 システムでさえ、戦闘のためにある。

 吹き出しシステム。リトルウィッチのFFDからグラフィックスを極端に減らしたようなシステム(極端にというか、リトルウィッチのグラフィックスの使い方が異常と言えばそれまでだけど…)。漫画のような表示の仕方でテキストが流れていく、ただ、日常シーンでは画面の動きが薄く、かみ合っているとは言い難い。しかし、それが戦闘シーンとなった時、これがかみ合う。流れるような吹き出し演出とグラフィックスの融合した戦闘シーンを作品に盛り込むことに成功している。システムは日常描写を描くための物じゃない、戦闘描写を濃くそして流れるように描くための物。つまり、システム面からみても格好良いシーンの寄せ集めを描くためにある。ジェイ、一斉、ヴィム、サム、良美、ペーター・・・彼らのバトルが一層引き立つというものだ。

 この頃のNitro+をB級映画的とする評があったと思うが、B級映画を深く考えず、気楽に観られる作品という一面を捉え、そう評したのであれば、この作品は大いに当てはまる。それはエンターテイメント性の高さと言い換えてもいい。

 作品自体の色は暗めであるのに、決してその雰囲気を壊すことなく、その延長線上で「天使?死生観?劇症化現象?ごちゃごちゃ考えず、バトルしようぜ!」な作品。

 なんというか、奇妙な痛快さを感じてしまった。

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