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『らぶでれーしょん』 レビュー。

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※ネタバレ注意

 『らぶでれーしょん!』は特化点をキャラクターに置き、物語性よりもヒロインとの掛け合いを重視していく。そうしてプレイヤーが主人公に投影できるよう、努力しているのが伝わってくる。そういう意味だと、最近の作品では『LOVELY CATION』シリーズ辺りが思い浮かぶ。ただ、それを主人公の個性を無くし、プレイヤーの考えを反映させるわけではなく、主人公に個性を入れて描く。この個性を入れるということが、掛け合いの面白さ・・・作品の良さに繋がるではないかなと思う。

 掛け合いの面白さは感情移入のしやすさにより起こる。

 主人公とヒロインのみの人間関係ではなく、他者・・・名前のないモブから友人たちまで・・・を巻き込んでのテンポの良い掛け合い。これも面白さに一役買っているだろう。けれど、それだけではない。主人公は少年というか子供。その視点で描かれるので、下ネタは多いし、アホな掛け合いも多い。誰もが通っただろう経験から、童心に返ったような感覚を呼び起す。そこにプレイヤーが感情移入し、その視点や友人たちとの掛け合いを通して、ヒロインとの恋愛を楽しむ。『らぶでれーしょん!』の掛け合いが面白いのはそのため。決して下ネタだけが面白いわけではない。

 シナリオも展開もヒロインさえも理想の集合。

 ヒロイン像は・・・プレイヤーがこうあれと願った女性像・・・理想の集合。とにかく不快感を与えない。とにかく基本に忠実。普遍的な好感を取ってくる。それゆえ、ヒロインは女性的に描かれるのではなく、男性視点での女性に対する正のイメージのみで描かれる。これにより、プレイヤーは彼女たちの内面をプラス方向に想像し、それが萌えに繋がっていく。

 シナリオだって理想の集合、友人が語るヒロインというか女の子に対する観方。誰々がかわいいだのなんだのといった会話。その語られるヒロインと付き合うといった優越感をくすぐる、べったべたなシチュエーション。もしくは日常的なご都合展開の連続。良い面ばかりを描いていく。

 これは現実感を徹底的に薄れさせるので、作品によっては駄作の要素となりうる。しかしこの作品では良い方向に働く。それもそのはず、この作品は専門用語的に言う“萌え”。その要素の集合であるヒロインとの掛け合い、恋愛を楽しむもの。現実の事象なんて描く必要はないし、描いてはいけない。ただ、こういった作風であるとご都合展開の連続となってしまうため、ドラマが描けない。だから、物語性はないというか入れる必要もあまり感じられない。ぼくが最初にこの作品に物語性がないと言ったのはそのため。

 けれども、そこに劇的なドラマがなかったとして、感動しないわけではない。キャラクター特化だからこそ可能とする手法。日常の延長線上として描かれるキャラクターの想いは、キャラクターが魅力的な作品だからこそ、心打たれるものがある。

 特にみみみ先輩のケーキや千歳の「泣いてもいいよ」は卑怯だろう・・・。

 とにかく麻薬的というか、癖になる。『SMEE』の作品を“萌えの凶器”と評した方を見かけたことがあるが、まさにその通り。癖になりすぎて、怖い。

 キャラクター性を強化。また、プレイヤーに不快感を与えないことを重視する。無理に感動を描くわけでもないし、物語性もない。けれど、それでいいのではないかな、このお話は。

 心地よさと甘さ・・・シナリオ偏重の作品に疲れたプレイヤーにオススメしたい一作です。

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