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『レミニセンス』 レビュー。

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※ネタバレ注意

 

 結構、続編希望の声が多い本作「レミニセンス」。シナリオは確かに説明不足の点も多かったです。ただ、それでもこれだけそういった続編希望の声が多いのは、言い換えれば、キャラクターの魅力、掛け合いの面白さがあったからではないでしょうか。

 「君は飛びぬけて凄かった。成績もそうだけど、物事の判断力や発想、行動力も人並みはずれていたっけ」(---唐沢.『レミニセンス』)

 例えば、本作の主人公秀隆。彼は、天才というキャラ付けがあるものの、プレイヤーに不快感を与えないよう、徹底的に彼を周囲からは低い扱いを受けるキャラクターとして描かれている。アクセラには毎度のことながら、安月給と罵られているし、そもそも本人がそう仕向けるような発言をしている。物語は、そうして見下されている状況から周囲に認められていく主人公の姿を、彼視点で追いかけていくので、単純に読んでいて気持ちが良いです(最初から最後まで自宅での扱いは底辺ですけど、ある程度の改善は見て取れる)。絵柄の美麗さも相まって、キャラクターたちの掛け合いをずっと見ていたくなる・・・そんな雰囲気作りが上手いです。

 「オレたち特務官は『便利屋』と言う認識のほうが、企業の人たちにとっては強い」(---秀隆.『レミニセンス』)

 とはいえ、主人公が周囲から認められる手段である特務官の仕事・・・これを最後までハッキリと説明をしなかったため、最後までこの『便利屋』という認識は拭えませんでした。実際にはない仕事なため、彼らがどう誇りを持っているのか実感がわくわけはないし、説明がないのならば共感を覚えることも難しい。説明はなくとも描き切れている、のであれば良いのですが・・・正直・・・。この辺りは残念でした。

 本作の攻略ヒロインは全員世間で許されない恋愛となるように造形しているのは、意図的なのかと邪推してしまいます。妹という近親姦となってしまう秋、幼すぎるキズナ、婚約者ありの希望、人気アイドルである凛、アンドロイドであるアクセラ。倫理的に許されないと、主人公自身が言うように、どのヒロインも恋愛関係となった場合、世間の目から秘匿する必要性が生じる。倫理的に許されない恋愛というのは、使い古された手法ではありますが、読み手としては想像出来る範囲ですし、読み手の現実とかけ離れているから物語にもなる。

 「それは、記憶の物語―――」(---OP.『レミニセンス』)

 問題は倫理的に許されない恋愛を、この作品でこれだけ多彩に描く必要があったのかということ。凛は共通、彼女のルートともに、彼女の問題…彼女の仕事であるアイドル関係の問題を、希望ルートも婚約者ありの彼女と如何に恋仲になるのか、どちらのルートもその解決に話は終始する。凛と希望、過去に縛られていない二人のシナリオは、本作を「記憶の物語」と言うのであれば、作品の本筋に関わらないと言って良いと思います。本作は攻略順に規定があることからもわかるとおり、秋、キズナ、アクセラが「記憶の物語」のメインであり、彼女たち二人のルートは数稼ぎというか、作品世界の説明程度でしかない。

 「私が私であることは、この記憶が無くならない限り絶対に変わらないことです」(---アクセラ.『レミニセンス』)

 アクセラルートは、アンドロイドをヒロインに据え、彼女の記憶が失われる。記憶というテーマを扱いやすいシナリオに成り得た。ただ、彼女の故障も、あっさりと解決してしまう為、本ルートは存在と記憶…この二択を迫られるわけでもない。どちらかというと重きを置かれるのは主人公の葛藤。アンドロイドに欲情するのか?というだけの話。結局のところ、記憶の物語としては成り立ってはいない。

 「かつての地上はどういう場所だったのか、どういう理由で滅んでしまったのか。そして、どうやってこの街が誕生したのか」「やっぱり、私のルーツを探る上で、地上の存在は欠かせないと思うんです」(---キズナ.『レミニセンス』)

 さて、本作を記憶の物語とするならば、ジオフロント全体・・・地上へとスケールを大きくできそうなキズナの話なのですが…この作品は結局、キズナが何者であったか、何故、ジオフロント…人類が現在のような状況になったのか、これを解き明かすことはない。地上は未だに人が住めることを確認するまでしか語られないのです。しかも、語られていない部分を提示するとしたら、(一応ハッキリとした言及はないにせよ) 別作品である『暁の護衛』を根幹設定に絡めているため、語ることすらできない。この物語を未完成ではないかと思ってしまう理由はここにあります。ファンサービスとはいえやりすぎなのではないかと。

 この作品は手広くやりすぎた。

 プレイ時間30時間と長めの作品であるにも関わらず、「記憶の物語」になっているのは2ヒロインのみ。設定を2ヒロインに集中させてしまった結果であるとも言えるし、しかも、そのうちの1ルートはファンサービスを取り込んだせいで自縄自縛に陥っている。凛、希望、アクセラ、彼女たちにもっと設定を割り振れば違う結果になったのではないかと考えると、少々、残念に思ってしまいました。

 ただ、本作を“主人公の”記憶の物語とするのであれば、該当する秋ルートはちょっと違う。主人公とヒロイン秋の過去が明かされる話であり、記憶の物語として成り立っている。本作で最も、記憶をメインに据え、未完の部分がないシナリオだと思います。個人の枠組みで終わる話ではありますが…。

 「もう物語は終わっているんだ、今更何を知る必要がある?」(---恭一.回想の先の物語.『レミニセンス』)

 ”秀隆の”記憶の物語は確かに終わっています。それが『レミニセンス』の完結と同義であるとライターさんが考えているのであれば、未完結である、続編希望が多いのは、この辺りでライターさんの考えと、読み手の捉え方が大きく食い違ってしまった結果なのだなと。


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